酵素の力を引き出すには水分が必要

生命維持に欠かせない水は、酵素にとっても大事な存在。水分不足は酵素の働きを想像以上に妨げるので、食生活に気を配るなら水分も適度に補給したいところです。
酵素と水の関係を読み解くには、血液の役割を知る必要があります。長文ですので、時間がない方は太字だけお読みください。
血液と水分の役割
全体の約90%が水分で構成される血液は、全身を循環しながらいろんな物質を運びます。酸素を供給する赤血球、病原菌から体を守る白血球、ブドウ糖やアミノ酸などの栄養素、体から出る老廃物も血液が運搬します。
老廃物とは新陳代謝で入れ替わった古い細胞、食品といっしょに吸収した添加物や農薬、カフェインや排気ガスなどの毒素などです。
老廃物で汚れた血液は全身を循環しますが、体内で解毒できる毒素は肝臓で無害な物質に処理されます。

アルコールの場合、肝臓が作り出す代謝酵素がいくつかの段階を経て、水と炭酸ガスに分解します。
水と炭酸ガスは血液に溶け込み、再び全身を循環して腎臓へ運ばれます。腎臓は血液を濾過して、老廃物を水分と共に体の外へ排出します。この排出液が尿です。

老廃物や毒素は血液に溶け込んで、全身を循環する。
血液中の老廃物は肝臓と腎臓を通過して、尿として排出される。
ここで小休止。血液と尿の2つに限って、水分不足の影響を考えてみましょう。尿の量は確実に減少しますので、老廃物の排出が滞ります。
血液も水分の比率が減り、粘度のあるドロドロ血液になります。
血流が悪いと細胞が栄養不足に
ドロドロ血液は流れにくいので、心臓が高い圧力で血液を押し出すようになります(=血圧の上昇)。それでも細い血管への血流は悪化。血液の流入量が減った分、細胞へ供給される栄養も減少します。

おさらいになりますが、血液は栄養素を運搬する車のような存在です。腸から吸収した栄養素や、肺から取り込んだ酸素は血液に溶け込み、全身を循環するときに細胞へ運ばれます。
サラサラ血液なら全身をスムーズに循環できるので、酸素と栄養供給が円滑です。しかし流れにくいドロドロ血液は運搬スピードが遅いため、細胞が充分な栄養を受け取れなくなります。
血行悪化で酵素が働けなくなる
同時に代謝酵素の働きが低下します。酵素が代謝活動を行うためには、ビタミンとミネラルが必要です。

ところが血行悪化で供給が滞ると、酵素が活動したくてもできなくなります。その結果のひとつが免疫力の低下。ウイルスや細菌に感染しやすくなり、病気にかかりやすくなります。

他にも悪影響があります。血液は熱を全身へ届ける役割もありますので、血行が悪いと体温が下がります。これも酵素の活動がにぶくなる要因。「体温が下がると免疫力がダウンする」と言われるのは、酵素が活発に動けないことも意味しています。
水分と酵素の関係まとめ
水分不足で血液がドロドロになると、血行が悪くなる
血行悪化で細胞への栄養供給が滞ると、代謝酵素の活動が鈍くなる
血行悪化による体温低下も酵素の働きを妨げる
酵素にとって水分が非常に重要な役割を果たすこと、ご理解いただけたでしょうか。お茶やジュースは飲むけど、水はあまり…という方は、純粋な水分を摂るよう心がけましょう。
水分補給に適した水と摂取量

水分補給に適しているのは、ミネラルウォーター、水道水、井戸水など、天然水に近いもの。水道水は浄水器を通すとなお良いですね。カフェインを含むお茶類、お酒は適しません。
摂取量の目安は、1日1リットル前後です。よく「1日2〜3リットル水を飲もう」といわれますが、水分の摂り過ぎは腎臓に負担をかけます。
それに水分は食事からも摂れます。1日3回の食事は1リットルの水分に該当します。規則正しく食事を摂っていれば、水を飲む量は1リットル前後で足ります。
飲むスピードはゆっくり、こまめに

水分補給のペースは、コップ1杯分の水を1時間くらいで飲み干すのが調度良いです。喉の渇きをうるおす程度の少量を、こまめに飲むイメージです。
大量の水を一気に摂るのは、脱水症状のもと。体にたくさんの水が入ってくると、血液中の塩分濃度を一定に保つために腎臓は尿を増やします。これもやはり腎臓の負担です。
もちろん水をゴクゴク飲み干したい時は、それでかまいません。喉の渇きを癒した後は、ゆっくりペースで水分補給してくださいね。
水分補給の方法まとめ
天然水に近い水(ミネラルウォーター、水道水など)を飲む。
摂取量は食事と飲用水の合計で1日2リットルが目安。
飲み方は少量をこまめに。コップ1杯の水を1時間かけて飲む感覚。
水の摂り過ぎ、一気飲みは腎臓に負担をかけるので注意。